ここだけの話、JXTAとの関係を整理してみた全体に公開
2006年02月05日01:48
JXTAというのは、P2Pソフトウェアに共通する機能を提供するプロトコル、その参照実装、プロジェクトの名前。
2001年4月にSun Microsystemsからアナウンスがあった。

jxta.org
http://www.jxta.org/

初めて試したのは2002年の4月。けっこう遅めで、出遅れ気味。
NTT の石原さん達は、多分、2001年のうちに Bill Yeager 他を訪問していたのだろう。

日記 2002年 4月 15日分
http://www.shudo.net/diary/2002apr.html#20020415

2002年11月頃から2003年度いっぱいまで、分散処理ソフトウェアの足まわりとして、開発に使い倒した。

P3: Personal Power Plant
http://p-three.sf.net/

2002年度末には JXTA (J2SE用参照実装) 2.0 がリリースされた。
大きな変更は、発見の仕組みが flooding から DHT 的なものに変わった点。

Project JXTA - loosely-consistent DHT with limited-range walker
http://www.shudo.net/article/JXTA-DHT-20040408/

開発ソフトウェアの検収直前、この変更が原因で大ハマり。
開発者のひとりが、発見の仕組みを使ってブロードキャストを行うという妙なコードを書いてしまっていたことが原因。検収日の朝方、絶望的な気持ちの中、この原因をようやく発見し、とりあえずは、DHT 的な機構を無理やり無効化して乗り切った。この手法は吉永さんが C Magazine の記事で紹介していたものらしく、吉永さんを恨んだ :)

2004年2月、Java に関する国内イベント JTC2004 で吉永さんが JXTA BOF を開催。スピーカとして呼んで頂いた。
この日は、ひでやさんと初めてお会いしたり、Tim Lindholm (JVM開発者, JVM仕様書の著者) と話ができたり、○oボタンで遊んだり、極めて密度の濃い1日だった。

日記 2004年 2月 19日分
http://www.shudo.net/diary/2004feb.html#20040219

2004年春頃、jxta.org の University Spotlight と Developer Spotlight で紹介して頂いた。と言っても、紹介文は実は自分で書いたもの。

University Spotlight: AIST
http://www.jxta.org/universities/aist.html

Developer Spotlight: Kazuyuki Shudo
http://www.jxta.org/bios/shudo.html

2004年 6月、サンフランシスコでの JavaOne に参加。
JXTA の中心的な開発者やチームのリーダと会うことができた。
Project Looking Glass のイベントでは、Juan Carlos Soto 達と記念撮影したり。
ただ、JXTA を使ったソフトの開発を支援(e.g. お金等)するようなプログラムはないものか?という相談は、うまくいかなかった。

日記 2004年 6月 28,29日
http://www.shudo.net/diary/2004jun.html#20040629

JavaOne の直後、櫻庭さんと一緒に Sun と Google を訪問。
Sun では、JXTA 関係者のうち JavaOne には出てこなかった方々ともお話できた。

日記 2004年 7月 2日
http://www.shudo.net/diary/2004jul.html#20040702

JXTA 2.x はスーパーピアという概念を導入した。発見などの大変な仕事はスーパーピア (rendezvous peer) に任せて、普通のピアはそれを利用する、という仕掛け。さらに、2002年、30万ピアの同時動作というスケーラビリティについての目標値も宣言された。これは、300のスーパーピアに約1,000の普通のピアがぶらさがる、というもの。

しかし結局、僕は「ad-hoc さ」「スケーラビリティ」という2点について失望することになる。インターネット上で自作アプリを動作させたい場合、スーパーピアを配置しておくことがほぼ必須となる。peer-to-peer に期待される ad-hoc さに欠けている。また、2003年度末に試験した限りでは、通信を頻繁に行うようなアプリでは、1つのスーパーピアにはせいぜい20強のピアしかぶらさがることができなかった。JXTA の主な開発者は数十台以上で試験できるような環境を持っていないようだった。スケーラビリティについて明るい見通しを持てなくなった。

JXTA はオープンソースプロジェクトなので、問題にぶつかったら自分で改良していけばいい。しかし JXTA 自体の改良に僕自身が大きな労力を割くことはできなかった。

Subject: Re: [p2p-hackers] Overlay Weaver: An Overlay Construction Toolkit
http://zgp.org/pipermail/p2p-hackers/2006-January/003427.html

コメント

シュドウ2006年02月05日 02:09
「自分と○○の関係を整理」シリーズは楽しく書けそ。
文章排泄欲求に加えて、自己顕示欲求も満たせるから?
kaki2006年02月05日 05:08
ありがとうございます。
こういう情報をちょっと探していました。

http://zgp.org/pipermail/p2p-hackers/2006-January/003427.html

特に上記は、参考になりました。
shinji2006年02月05日 12:45
JXTAはしばらくいじったんだけど、自分的には1年前に撤退しました。巻き込んだ学生はごめんね。やりたい方向が決まってない感じで、「ここが便利」ってのがないまま、アドホックなデモだけ作ってしまったのかな。変更も多くて大変だった。

自分のやっているのがJXTAに近いって言われたので調べたところもあったんだけど、時間取られた割にいまいちだったな。
シュドウ2006年02月05日 16:55
JXTA にケチをつける形になってしまいました。
でも僕は別に、JXTA はダメだ、とか、使うべきじゃない、と言いたいわけではなくて、利点や限界を把握した上で自分の責任で使えばいい、と思ってます。

利点や限界を把握しにくい現状は問題だと思ってます。
JXTA の英語 ML で「沢山の質問が放置されてる」と書いたら、「主要開発者に回答させるのはリソースの無駄遣い」と言われたことがあります。まったくその通りなのですが、Sun が散々 JXTA を喧伝した割には、Sun からの利用者へのサポートが全然なされてないなあ、と。